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トップメッセージ

バスという枠組みにとらわれず
あらゆる移動手段を追求して
『世界一のモビリティカンパニー』へ。

東急バス株式会社 取締役社長

古川 卓

地域の人々の移動ニーズに応えて
東急線沿線の街づくりのベースを担い、
快適な暮らしに貢献しています。

多くの人が住んでみたいと思う人気の街が並ぶ東急線沿線。その街づくりの基盤を担ってきたのは、私たち東急バスであると自負しています。一般的なデベロッパーは土地を取得し、施設や住居を建て、販売したら次の開発へと移るでしょう。確かにそれも街づくりの形ではあります。しかし私たちは、まずバスを走らせる。路線に人が住みコミュニティが形成されたら、その背骨の部分を鉄道に置き換えていく。バス路線を足がかりに地域に根付いて事業を継続し、付加価値を高めてきたのが、東急グループの街づくりだと私は思っています。

私は10年ほど前に、東急グループがベトナムで取り組んでいる「ビンズン新都市」の街づくりに関わり、路線バスの会社を立ち上げました。今まで東急グループが手がけてきた街づくりをコンパクトに、短期間に凝縮して進める中で、バスが果たす役割の重要性を再認識しました。暮らしやすい快適な街には、地域の人々の仕事、教育、医療、日々の買い物などきめ細かな近距離移動ニーズに応える路線バスの存在が不可欠なのです。

東急バスと東急トランセの統合により
一体感を強化し、
ワンチームとして課題に挑みます。

2024年4月、東急バスは東急トランセを統合して、新たな一歩を踏み出します。

東急トランセは、既成概念にとらわれない新しい輸送サービスを実現するために1998年に設立しました。設立時の運転士10人はすべて女性でした。Suicaが普及する以前にオリジナルのICカードを導入するなど、その革新性は一躍業界の注目を集めました。運転士は同じバス業界や運送業経験者に留まらず、ホテルのコンシェルジュや営業マンなど、サービスマインドにあふれた人材を募り、ホスピタリティの高さを打ち出したのも業界の先鞭をつける取り組みだったと思います。その後、東急トランセが東急バスの路線を受託し、経験を積んだ運転士が東急バスへ転籍することにより、両社の文化が少しずつ融合していきました。

それぞれのサービスレベルが高まり、安全・安心で快適に運行するノウハウが集約されたため、ここでワンチームとしての一体感を醸成し、経営の効率化と企業価値の向上を目指す方向へと舵を切りました。この統合はコロナ禍がもたらした社会の変化や2024年問題など、バス業界が抱える課題を見据えて、東急バスのさらなる成長と発展を実現するためのものです。

挑戦する姿勢こそが未来を創る原動力。
こころを一つにして、新しいモビリティを目指しましょう。

将来、バスに自動運転が導入されたら運転士は必要ないのでは、と危惧する声を耳にしますが、それは間違いです。多くのお客さまをお運びするバスの運転を完全に自動化、無人化することはできません。旅客機もほとんどオートパイロットで飛んでいますが、必ず正副二人のコックピットクルーが乗務しています。安全・安心を守り、快適な移動時間を提供するためには人の経験と判断が欠かせないのです。私は積極的に自動運転を導入して乗務員の負担を減らし、お客さまのサポートへ力を振り向けてほしいと考えています。また、運行管理者や整備士、総合職の社員にも同様のことが言えます。社会が変化すれば公共交通のあり方も変わります。技術は進化しますし、バスの役割も変わって当然です。変化をチャンスと捉え新しいことに挑戦する姿勢こそが、次の時代を創る原動力になります。

東急バスを設立した時、『日本一のバス会社』を目標にしました。いま、統合を機に『世界一のモビリティカンパニー』へと加速したい。東急グループで首都圏唯一の「タイヤで人を運ぶ会社」としてバスという枠組みにとらわれず、あらゆる移動手段を提供していきます。私たちが描く未来は、様々な期待と可能性に満ちています。お客さまのニーズを汲み取る感性とチャレンジ精神にあふれる社員がこころを一つにして、新しいモビリティの形を創っていきましょう。私たちの行き先は、未来です。

こころを一つに、新たなスタートへ
Profile

取締役社長 古川 卓(ふるかわ たかし)
1963年鹿児島県で生まれ、栃木県など様々な土地で暮らす。地域公共交通の重要性を感じ、86年早稲田大学卒業後、東京急行電鉄(現:東急)へ入社。91年から東急バスの設立に携わる。その後ベトナムのベカメックス東急バス初代社長などグループ各社の取締役を歴任。趣味は小唄(春日流師範)、長唄(杵勝流名取)、人形浄瑠璃の観劇。

2006年
東急バス 運輸事業部運輸営業部長
2009年
同・取締役営業部長
2014年
ベカメックス東急バス初代取締役社長
2019年
東急執行役員国際戦略室長
2021年
東急バスおよび東急トランセ取締役社長
2024年
東急バス、東急トランセ統合後、
東急バス株式会社取締役社長に就任