東急バス 30周年記念誌 更新版
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7動的に検知して営業所に知らせる機能も付帯しています。また、「アイマークレコーダー」は、個々の運転士の視点の傾向を把握して運転技術の改善向上につなげられます。――安全・安心な輸送サービスの提供を目指し、2019年に「健康宣言」を制定されたとのことですが。 安全・安心な輸送サービスを提供するためには、まず従業員一人一人が健康でなければなりません。そして、働き方の多様化を進めながら、安心して明るく働ける職場環境づくりに努め、さらには、企業として持続的に成長できるよう、健康経営に取り組んでいます。 健康に起因する事故を絶対に起こさないよう、定期健康診断の他、脳血管疾患や心臓疾患、睡眠時無呼吸症候群の検査を定期的に行っています。また、飲酒運転防止のため、出勤時、出庫点呼時、さらに入庫点呼時の3回アルコールチェックを実施し、出勤前に自宅で使う携帯用のアルコールチェッカーも一人一人に貸与しています。従業員本人はもちろん、ご家族の意識も高く、日頃からの協力に感謝しております。――SDGsやESGの取り組みにもつながる、環境対策について実施されていることはありますか。 2020年より、水素と空気中の酸素を化学反応させることに よって発電できる燃料電池バス「SORA」を導入しています。CO2を排出しない上に操作性も良いと運転士からも高評価を得ています。自動運転も含め、世の中の技術革新の動向をよく見極めながら、これからも次世代車両の導入を検討していく必要があると感じています。 また、東京都世田谷区が開設した「みうら太陽光発電所」でつくられた電力を当社の世田谷区内のバス停留所(50カ所)の照明に使用する取り組みも開始しました。バス停留所での再生可能エネルギー利用は国内初で、導入した停留所にステッカーを貼ることで、地域の皆さまに再生エネルギーを身近に感じていただき、温室効果ガス抑制の必要性を知っていただくきっかけづくりにもなればと、期待しています。 今後も可能な限り環境負荷の低減に取り組んでまいります。――太陽光発電の利用は、世田谷区との地域連携とも言えますね。この他、行政や企業と連携なさっていることはありますか。  問題となっている少子高齢化による路線バス利用者の減少や運転士不足による減便を防ぐことを目的として、2022年1月に、横浜市と公民連携でバス路線の維持・充実を目指す協定を締結したところです。運行の効率化とともに地域の方々の利便性向上を目指して、運行本数の多い路線には連節バスを導入するにあたり、横浜市から走行環境整備面での支援をいただけるのは、大変ありがたいことです。 また、東急(株)は、2022年の春に、多摩田園都市エリアにおいて、生活者起点で自由で豊かな暮らしを実現するため、新たな郊外まちづくりに取り組む「nexus(ネクサス)構想」を始動させました。このプロジェクトは、構想に共感いただいた行政や企業と連携し、地域ネットワークを構築しながら新たな付加価値を創り出すものです。多様なプレイヤーが思いを共有する中で、当社も積極的に関わっていきたいと考えています。――「ヒューマンに行こう」という社是に、今までお伺いしてきた東急バスの「志」を感じます。 実は、この社是は、1991年の創業当時、人事労務を担当していた私が最初に手掛けた従業員採用のためのポスターのコピーだったのです。「人間らしく、温かくて、もっと親密にお客さまと関わる」という気持ちを込めたのですが、これは本当に終わりのない取り組みですね。運輸業務を任されたころから、日々神棚に向かい「お客さまに信頼され、地元に愛され、従業員が誇りをもって仕事に携われるように」と唱えていますが、社是にも通じる私の変わらぬ願いです。 「ヒューマンに行こう」という社是と、私たちの安全のための指針「安全方針」は、創業時から変わらない、道しるべとしている大事なスピリットです。これらを胸に30年間で培われ根付いてきた企業文化を大切に守りながら、これから50年、100年先もお客さまに愛される東急バスになるために、新たな変革に挑戦し続けていきたいと考えています。

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