東急バス 30周年記念誌 更新版
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54「経済産業省前」バス停(夜景)。等々力操車所方向 エムシードゥコー(株)は、フランスのジェーシードゥコー(株)と三菱商事(株)の出資により2000年に設立された会社で、日本における広告付きバスシェルター(上屋)整備の先駆けであり、同事業を日本各地で展開している。親会社のジェーシードゥコー社は、世界60か国4,435都市(2016年現在)で展開される世界最大の屋外広告会社である。スタイリオ品川中延 東京急行電鉄(現 東急(株))と連携した当社資産活用策として、老朽化していた荏原営業所建物、荏原社宅建物を解体し、新たな営業所建物に加え賃貸マンションを建設した。 2009年の給油所の移設を皮切りに、仮設事務所の建設、既存事務所・社宅の解体、新事務所・工場棟の建設と既存工場棟・仮設事務所の解体など、住宅棟の建設と営業所を運営しながらの工事は、工程が非常に複雑で、住宅棟の竣工は、2013年3月となった。 完成した住宅棟は地上13階建て、1K~2LDKの間取りを持つ全158室の賃貸マンションとなり、東京急行電鉄の賃貸マンションブランド「スタイリオ(STYLIO)」シリーズとして「スタイリオ品川中延」と名付けられた。 スタイリオシリーズの特色である、ホテルライクな内廊下、高級感のあるエントランスに加え、都心・羽田空港にも行きやすい立地の良さもあり、竣工後現在まで平均稼働率90%を超える高稼働物件として、当社の不動産賃貸事業を支えている。「大橋」バス停。山手通り、渋谷駅方向 事業スキームは、同社が商業広告ポスターを上屋に設置する権利を認めることを条件に、当社停留所の広告付き上屋を無償で設置し、維持管理を行うものとなっている。当社としては費用負担なく上屋の設置、維持管理が可能になっている。2016年度から順次実施し、2021年9月末までに東京都内75基、神奈川県内5基の広告付き上屋を代替・新設している。スタイリオ品川大井パークフロント 当社大森操車所は、主に池上営業所所管の大森線、荏原営業所所管の荏原町線、弦巻営業所所管の環七線が乗り入れ、2016年当時で1日200回以上の折り返しを行う、都内有数の操車所であった。 大森操車所の高度有効活用についても、東京急行電鉄と協働で実施し、賃貸マンションを建設することとなった。大森貝塚の近隣ということもあり、着工前には埋蔵文化財調査なども実施し、慎重に準備を重ね着工した。 操車所の約半分を工事範囲として使用したため、バスの折り返し本数を維持しながらの運用は非常に厳しかったが、各営業所の協力に加え、安全対策を十分に行い、大きな事故なく2019年1月に竣工を迎えることができた。 スタイリオ品川中延に続くスタイリオシリーズとして、「スタイリオ品川大井パークフロント」と名付けられ、地上9階建て、1K~1LDKの全54室は全て隣接する大森貝塚遺跡庭園に向いており、公園の豊かな緑が自室から楽しめる造りとなっている。 1階部分にはバス折り返しのための駐車スペース(4台分)、乗務員の休憩室、トイレなどを設置し、操車所機能のグレードアップもあわせて実施した。 「二子玉川」バス停。左:渋谷駅方向、右:成城学園前駅方向事業の変遷 ー2011年~2021年 事業・テーマごとの振り返りーバス停留所上屋の整備(広告付き上屋の採用)不動産賃貸事業の発展 エムシードゥコー(株)の事業スキームを活用した広告上屋の整備賃貸マンション

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