東急バス 20周年記念誌
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2001~2011年の動き 田園都市線宮崎台駅に隣接する﹁電車とバスの博物館﹂は東急グループの文化施設のひとつで,30年近い歴史を持つ,民営の交通関連博物館では草分け的な存在でもある。当社も東急電鉄自動車部時代から現在に至るまで,展示品の企画など様々な協力をしてきた。現在までの経緯を紹介する。 電車とバスの博物館は東急電鉄創立60周年にあたり,地域社会への還元を図る事業として1982(昭和57)年4月3日に高津駅横にオープンした。建築面積1,171㎡,㈳東急弘潤会との共同運営で,入館料は10円であった。 1号館には,動く3450系電車台車,2号館に多摩田園都市パノラマ模型と8090系電車シミュレーション,動く東急コーチ模型があり,1号館と2号館の間の高架下にバス車両の実物を展示した。車室内はエンジンルーム,床を半分アクリル製としてエンジン,ミッション,デフ,エアブレーキ等が分かりやすく見えるように色分けしてある。ハンドル操作や放送装置,フィルム式電動方向幕,メモリースイッチ,光電リレー,ドア開閉などの各作動ができる。 開館にあたっては,当時の五島 昇東急電鉄社長からのメッセージが寄せられた。これは今でも入口に飾ってある。開館前日には地元小学生のブラスバンドで祝賀され,オープン当日は徹夜組も含め約6,800人の入館者となった。 その後,動く東急コーチ模型は,電車レール方式から電磁誘導方式に改造した。1983(昭和58)年8月にはバスコーナーの拡大に伴い,青葉台営業所をモデルに営業所模型を製作した。車検ラインのタイヤ回転,ライト点滅,ツインリフト全体上下,洗車機ブラシ回転,計量器ランプ点滅,クレーン移動などが楽しめた。 1990(平成2)年に3号館増設による改修工事が始まり,一時閉館された。各備品撤去の際,展示路線バスは自走してグループ会社である東横車輛電設㈱(現東急テクノシステム㈱)中原工場に回送された。展示物については,新しく東急コーチ車の実物を利用したバスシミュレーションが登場した。更にYS‐11型飛行機の機首部分を使用したシミュレーションも設置された。 2002(平成14)年9月1日から田園都市線拡幅工事のため一時閉館,2003(平成15)年3月21日に宮崎台駅隣接地に移転(建築面積1,268㎡)し,リニューアルオープンした。従来のバス車両実物も車体再生の後に搬入したが,建物1階が搬入場所より低いため,クレーンで吊り上げてから降ろし,エンジンをかけて自力走行しハンドルを切り返しながら展示室に収めた。また,東急コーチのシミュレーションを改良し,アクセル,ブレーキ,ハンドル操作に対応して画面上のバスが枠内に納まるか,信号無視をしていないかなどで点数表示されるようにした。 なお博物館のバス関係の展示は,実車2両,営業所模型,メカ部品カットモデル,方向幕巻取機,制服,工具等である。2011年10月には東急バス創立20周年を記念し,デジタル方向幕,放送装置,車内インフォメーション,降車合図ブザーが連動して作動する新規展示品を設置した。 実車のうち1台は,日野RB10型大型路線バス(シャーシナンバーRB10‐46500,社番TA1525)で1965(昭和40)年製,同型車では全国で唯一残存する貴重な車両である。もう1台は三菱ふそうB623型中型デマンドバス(シャーシナンバーB623B‐23067,東急コーチ),1975(昭和50)年製である。両車とも実働できる状態で大変調子が良く,また外装・内装とも美しい状態を維持している。67電車とバスの博物館は1982年4月,高津駅横でオープンした.開館当初のパンフレット(部分)バスは実車2台を展示.上は1965年式日野RB10型(東横車輌電設で整備中の様子),下は元東急コーチの1975年式三菱ふそうB623型(運転シミュレーション)宮崎台に移転後のバス展示コーナー1. 地域貢献に向けた東急電車とバスのミュージアム2. 現在地の宮崎台に移転■電車とバスの博物館■バスコーナーの歩み

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