東急バス 20周年記念誌
58/98

2001~2011年の動き停留所施設 広告付き上屋は,平成15(2003)年1月31日付の国土交通省・警察庁の通達により,広告収入を設置費用・維持管理費用に充当することを条件に設置が可能となった。これを受けて都道府県・政令指定市ごとに,地域の実情に合わせた基準が検討され,横浜市交通局では平成16(2004)年度から,川崎市交通局では平成18(2006)年度から,広告事業者による設置を開始した。 東京都交通局では平成19(2007)年度からバス事業者自身による広告付き上屋の設置を開始した。東京都交通局の形態をトレースする形で,平成20(2008)年10月に東京都建設局・東京バス協会の協議による基準が整備され,東京都では民営バス事業者でも設置することが可能になった。 当社では,当初の通達が発せられてから,情報収集と関係先への協議を進めていたが,歩道に十分な有効幅員が必要で,設置できる場所が限定的なことから,公道では東京都の基準整備を待つことになった。 このような状況の中で,平成20(2008)年10月の基準整備を受けてから,具体的に設計・協議を開始し,協議先・関係者の協力により平成21(2009)年3月,広告価値の高い,渋谷駅西口広場の4か所(31番~34番バスのりば)に,東京都で最初の民営バス自身による広告付き上屋を完成させることができた。 バス停上屋は老朽化が進んでいるので,平成16(2004)年度から主要構造部にステンレスとしたものを採用して建替えていくことを主体に整備している。渋谷駅の広告付き上屋も,広告事業者が設置するものと異なり,主要構造部をステンレスとした。 照明器具には,当社では初めて白色LEDを採用し,消費電力の節約に努めている。33番バスのりばは,横断歩道までの離隔が不足のため,広告面なしではあるが同一仕様とした。維持管理を前提とした構造のため,月2回の清掃・点検を実施している。上屋の広告面と競合しないよう,上屋前方のあんどんポールは,発車カウントダウン表示システム付きの薄型のものに代替した。 広告付き上屋には,風防・ベンチも一体整備することになっており,安全性や視認性なども考慮し,設置場所は慎重に選定する必要がある。 この間,平成17(2005)年8月の鷺沼駅を最初に,二子玉川駅・たまプラーザ駅では車道側に両面表示の広告パネル付きの上屋を,あざみ野駅には広告付きの大型あんどんポールを設置した。これらは公道ではない駅前広場において,機能を重視した柔軟で先駆的な取り組みができた。このうち二子玉川駅・たまプラーザ駅は再開発事業の着手により撤去し,上屋本体のみを老朽化した上屋の建替えに転用した。 公道でのバス停上屋の設置には,道路管理者・警察・消防との協議のうえで,建築審査会同意による建築基準法の許可,建築基準法による確認などの手続きが必要であるが,広告付き上屋の場合はさらに,屋外広告物条例による特例許可,道路交通上支障がないかどうか警察本部との立会い・協議が必要になり,輻輳した手続きをまとめることになる。58都内の民営バスでは初となった広告付き上屋.渋谷駅西口の31~34番乗り場に設置された広告付き以外でも上屋の整備・拡充は積極的に進められている.ベンチを備えた中目黒駅前の例1. 停留所上屋の整備2. 東京都で最初の民営バス自身による広告付き上屋

元のページ  ../index.html#58

このブックを見る