東急バス 20周年記念誌
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2001~2011年の動き車両の改善,新型車両の導入 バス車両も年々改善されてきているので,大きな流れをまとめてみた。 ワンマンバス以前の方向幕は布製だった。車掌が手回しハンドルで操作していた。左右によじれたり巻き取れない故障もあった。ワンマン化に伴いフィルム式となり,前だけの電動巻き取り式から前・中・後の3連動となった。フィルム式の場合,新規路線や路線再編成のつど,切り張りや刷り込みなど工場員は大変な作業量であった。静電気により真黒になり外して清掃も行っていた。1998(平成10)年頃よりデジタル式が開発されてきた。1台分が約90万円もするためなかなか普及しなかったが,技術の進歩により60万円レベルになってから検討が進み,当社も2003(平成15)年に本格導入した。当初は新車と車体再生車に採用したが,2004(平成16)年から後付け改造も進め,2009(平成21)年3月に特殊車を除き全車デジタル方向幕となった。 当社バスの冷房化100%は1992(平成4)年であるが,それ以前の車内換気はベンチレーターが担っていた。バス正面ガラス下に2個と運転席真上に1個,そして車内4か所ほどの天井に設置されていた。冷房化後も車内換気の要望もあり,外気導入式エアコンの採用を進めてきたが,2002(平成14)年からは前部換気扇を取り付けた。2011(平成23)年2月から採用しているポスト新長期排出ガス規制適合車では,エンジン排気量が小さく重量が軽くなり後軸重10トン基準がクリアできたため,さらに後部換気扇も取り付けた。 路線バスのオートマチックトランスミッション(AT,以下オートマ)化は意外と古く,当社でも1964(昭和39)年にいすゞBU10型,翌年にも日産ディーゼル4R94型でトルコン式オートマの試験を開始した。ただ故障も多く燃費悪化もあった。その後1978(昭和53)年1月に三菱車で試験導入し,三菱重工製オートマ車を淡島に,GMアリソン製オートマ車を瀬田に各1台ずつ配置した。燃費は悪化したが,運転性の評価は担当者でまちまちであった。三菱重工製は1985(昭和60)年に一般のフィンガータッチGSU(ギヤシフトユニット)に改造した。 1997(平成9)年からの国産大型路線バスのノンステップ車発売にあたり,三菱以外の3社はセンタードロップ式リヤアクスルとトルコン式オートマ(ドイツZF製)を組み合わせて採用した。それらは導入後,燃料消費量が予想以上に悪かったことから路線バスの主流となれず,当社でも1998年から2002年までに日野を15台採用するにとどまった。 その後,三菱大型車はポスト新長期規制適合車から全車オートマが標準採用となった。そのため当社では数度のテスト走行を実施したが,従来と違うアリソン製6段変速であること,また運転もしやすいと評価が高かったことから,2011年2月から採用に至った。 1992年に運輸技術審議会答申を受けて制定された中期ブレーキ規制により,3.5トン超のトラック・バスは1998年以降の新型車,2000年(平成12)年以降の継続生産車から,規制への対応が必要となった。当社では200番台(2000年度)車両から規制に対応した車両を導入した。規制の主な内容は①主ブレーキの性能向上,②ブレーキギャップの502009年3月までに全車に装着されたLED方式のデジタル方向幕2002年の新車から採用されている前部換気扇(冷房装置前方の丸型の機器)過去のオートマ車から,1978年に瀬田営業所に配置された三菱ふそうMP117K.オートマはGMアリソン製で,当社創立後まで稼働した2011年から採用が始まった,アリソン製6速オートマを搭載する三菱ふそうMPの運転席.左手前がオートマのセレクター1. デジタル方向幕の採用2. 換気扇の取り付け3. 三菱大型車がオートマ車となる4.中期ブレーキ規制への対応

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