東急バス 20周年記念誌
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営業所においてバスカードの精算を容易化した、バスカード精算機。なおバス共通カード廃止以降は磁気式一日乗車券のみを取り扱っている2001~2011年の動きお客さまサービス〜IT機器によるサービス向上 引き続き,ハード面でのお客さまサービス改善策を紹介する。 バス事業において常に課題である定時運行の確保を補完するため,当社では早い時期から運行管理・顧客サービス向上に対する投資を続けてきた。 東急電鉄自動車部時代から開始したバスロケーションシステムでは,目黒通り・池上通りにおける路線バスの主要停留所にバス接近表示機を設置し,分社後も同システムの運営を引き継いできた。分社後の1992(平成4)年には,同様のシステムを青葉台営業所所管の主要停留所に広げている。 このシステムは無線通信を活用し,停留所などの運行経路上に検知器を設置して,バスが通過すると次停留所以降の接近表示機を作動させる仕組みで,営業所内では,所管路線全体の運行状況の把握ができ,加えて,営業所とバスの間の連絡に活用する音声無線機などの機能も備わっており,当時としては画期的なシステムであった。 しかしお客さまにとっては,待ち時間のイライラが解消できるとしても,停留所まで来ないとバスの接近情報がわからない不便さがある。一方事業者にとっては路線再編成などの際のディスプレイ変更など,メンテナンスコストも課題であった。 これらの点を解消し,利便性が飛躍的に向上する新システムとして,お客さまの携帯電話やパソコンを活用し,WEB上でバスの位置情報が閲覧できる新しいバスロケーションシステム﹁東急バスナビ﹂の開発導入が,他社に先駆けてなされた。 東急バスナビはNECが開発したASP(Application Service Provider)サービスとして,2000(平成12)年に旧東急コーチ自由が丘線で実証実験がなされ,2002(平成14)年には旧東急コーチ路線全線に導入,その後2003年に渋谷駅発着15路線,2004年に東京地区全路線,2005年に神奈川地区全路線に導入された。 同システムはお客さま向けだけでなく,運行管理用機能として,車号,停留所間の詳細な運行時分なども把握できる。 システムの仕組みは携帯電話メール機能でも使用されるパケット通信(NTTドコモのFOMA方式)を活用して,車内放送用のAGS(音声合成放送装置)に連動して,バス車載機からパケット通信で信号がNECデータセンターに送信される。データセンターからはインターネットを介してお客さまに情報を配信する仕組みである。 現在では他社も同種サービスに追随している。当社では1日あたり約20万件ものアクセス利用があり,今やバス事業の運営には欠かせないシステムとなっている。 乗務員が車内で発売しているバスカードなどは,乗務終了後,代金とカードを事務所に返納し,事務員の手作業で詰め替え作業を実施していたが,2002年10月1日より全営業所にバスカード精算機を導入した。主な機能は,①発売管理,②紙幣・硬貨受入機能,③釣銭機能,④両替機能,⑤補助乗車券発行機能,である。なおバス共通カード廃止に伴い,1日乗車券(磁気式)のみの取り扱いとなっている。(2011年9月現在) 起終点停留所にて待機中,お客さまに対しあと何分で発車するかを,カウントダウン方式で,車内インフォメーション装置と音声により案内するサービスを2004年3月から開始した。これはAGSを乗務員が操作して分数を入力表示するもので,お客さまから安心感を得られると好評である。42発車待ちの車内で,停名表示器に発車までの分数を表示するカウントダウン機能お客さま自身がパソコンや携帯電話でバスの位置情報などを知ることができる﹁東急バスナビ﹂.上はパソコン,左は携帯電話における位置情報画面1. バスロケーションシステム2. 乗務員用バスカード精算機導入3. 発車時分カウントダウン機能の導入

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