東急バス 20周年記念誌
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2001~2011年の動きデジタコ,ドラレコの導入 事故防止や苦情防止のため従来からいろいろな取り組みを実施してきたが,デジタコ,ドラレコの装着により発生原因が具現化できるようになり,有効的対策が打てるとともに,最近では乗務員を守るためにはなくてはならない機器となってきている。 デジタコはデジタル式の運行記録計で,速度・時間・距離・エンジン回転数などが記録される。従来は円盤型タコチャート紙方式であったが,2004(平成16)年にデジタコの国土交通省認定基準が全面的に見直され,急速に普及してきた。 当社では,2004年8月に燃費向上を目的に,東急トランセ淡島営業所の2両にテスト導入の後,2004年度中にトランセ営業所の車両に順次装着した。2005(平成17)年9月からエンジン回転数が一定値をオーバーすると警告音が鳴る運用をトランセ営業所からスタートした。そして2006(平成18)年から2007(平成19)年にかけて東急バス営業所の車両にも装着を進め,2007年12月から東急バス営業所においても運用を開始した。特に省エネルギーに効果を発揮し,エコドライブ強化運動とも相まって軽油の保持キロが毎年アップし,2004年度の2.43㎞/ℓから2009(平成21)年度には2.69㎞/ℓというように5年間で0.26㎞/ℓアップ(+10.7%)し,大きな効果を上げた。2008(平成20)年11月からは東急バスにおいてもデジタコカードを個人貸与とし,個人でも運転状況の活用が可能となった。 省エネ運転は当然ながら安全運転にも直結するので,事故防止効果も大きかった。その後,重大事故防止の取り組みの中で全社的に運用拡大を進め,最高速度や一定の加減速度(1秒間に7㎞/h=0.2G)による回数カウントなど車内事故防止にも活用されている。乗務員にとって運転状況が数値で出ることに初めは抵抗感もあったが,徐々に運転の癖が判断できる材料となり,乗り心地の向上からお客さまの安心感向上につながるなどのメリットから受け入れられてきている。 2005年頃からタクシーでの事故防止にドラレコが効果を上げているという報道がなされ,バスにも活用研究が進められてきた。関西や福岡などでは事故時のみ録画するイベントタイプの検討が進んでいったが,関東地区においては苦情対応ができ,加減速度差が小さな車内事故でも録画される常時録画方式が主に検討されてきた。 当社でも2007年からメーカー数社のテスト装着を進め検討していたが,2008年7月の池上での重大事故を契機に,採用に向け検討に入り,常時録画方式ドラレコを2008年9月から池上営業所に導入開始,2008年度内に全車両に装着という大英断がなされた。ドラレコ装着後は正確な事故分析,苦情実態把握に効果を発揮し,有効な対応策が図れたことにより,軽微事故を含めた事故件数が2009年度には対前年139件減少(-24.5%)した。また,事故原因がはっきりわかるので事故示談交渉も迅速にできるようになった。苦情についても,お客さまとのやりとりが正確に振り返られ再発防止に活用され,苦情件数が対前年264件減少し(-25.2%),サービス向上にも大きく寄与している。40運行記録計タコグラフはタコチャート紙を採用する従来のアナログ式(上)から,デジタル式への転換が急速に進んだ.省エネ運転に大きく寄与している.下はデジタコによるチャート図の例2008年度に全車装着を進めた常時録画式ドライブレコーダー(ドラレコ).上は車載機本体,下は車内/車外前方/車外左側方の録画内容を示すパソコン上の管理画面,右下は車外左側方のカメラ.なおこれらシステムは東急ファシリティサービスの販売で,取付工事は東急テクノシステムが実施した1. デジタルタコグラフ(デジタコ)2. ドライブレコーダー(ドラレコ)

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