東急バス 20周年記念誌
39/98

 輸送の安全に関する重点施策として,2010年10月より﹁指差呼称﹂﹁右左折時の一旦停止﹂を導入した。指差呼称は発進時の事故を,右左折時の一旦停止は交差点,横断歩道上での事故を防止するための施策であり,実施に向けて乗務員・事務員によるワーキンググループを立ち上げ,問題点の洗い出しや安全運転訓練車を用いた実地検証などを行った。 これに先立つ2010年6月より﹁右左折時の一旦停止﹂について,後方を走る一般ドライバーの方や車内のお客さまに当社の安全対策として広く理解と協力を求めるステッカーを車両後部に貼付した。 飲酒運転による悲惨な事故が社会問題となっている中で,バス業界としても同種事故の絶滅を図るための対策を進めてきた。当社では2002(平成14)年11月からギャレットジャパン製筒型﹁アルコブロー﹂で試行開始,2003(平成15)年8月から本格採用とした。2004(平成16)年9月からは,全従業員にアルコールチエッカーを個人貸与し,出勤前のアルコールチェックを義務付け,会社と家庭での飲酒運転撲滅に取り組んだ。2004年10月からは更に運営体制を強化し,出勤時に東海電子製﹁ALC‐PRO﹂を,また点呼時にベーシック製﹁ACOO2﹂を使用し,二重チェックを実施している。 運輸局への報告事故件数で車内事故の割合が圧倒的に多いことから,2011年3月から全車両の室内床面に﹁バスが停留所に着くまで席に座ってお待ち下さい﹂と表示したアルミ地金のステッカーを貼り付けた。 2009年11月で二子玉川の東急自動車学校が移転することから,その跡地を借用し各エリア別に3日間の安全運転講習会を実施した。当日は本社からも役職者が視察し,コースでの運転技術訓練,急ブレーキでの衝撃体験,事故時模擬訓練などを実施した。その後も近隣自動車学校の休校日にコースを借用して毎年講習会を開き,安全運転の一助としている。 2008年10月に国土交通省主催の﹁輸送の安全に係るリスク管理モデル構築検討会﹂に当社がオブザーバーとして参加し,本検討会の指導のもと,池上営業所において,﹁なぜなぜ分析﹂の実証試験を実施した。 当社はこの実証結果を踏まえ,事故再発防止対策の一環として﹁なぜなぜ分析﹂を導入することとし,チーム会議において実施している。 健康に起因する事故防止のため,当社では産業医と定期的な会議および,職場巡視を行うとともに,適宜産業医面談を実施している。また産業医指示のもと,2名の保健師が東京と神奈川の地域を担当し,毎月全営業所に巡回し個別面談,指導を実施している。 更に定期健康診断結果において,当社の基準を超えた者を保健指導対象者とし,その中でも特にリスクが考えられる者をハイリスク者として,毎日の出庫点呼時にチェック表に記入し提出させ,健康に起因する事故防止の管理の徹底を図っている。 また,保健師専用ダイヤルで直接健康相談ができるシステムも確立されている。39﹁右左折時の一旦停止﹂を後続ドライバーや利用者に告知する車体後部のステッカー出勤の際のアルコールチェック.この後点呼の際にも行う二重チェック体制を構築している車内事故の防止に向けた車内床面(前輪通路部)のステッカー.アルミ地金製で耐久性に優れる2009年11月から継続して行われている,自動車学校を利用した安全運転講習会.事故模擬訓練や急ブレーキ体験など,公道や営業所内では行いにくい内容が用意されている5. 指差呼称・右左折時の一旦停止施策の導入6. アルコールチェック体制の強化7. 車内事故防止シールの貼り付け8. 安全運転講習会の開催9. なぜなぜ分析の導入10. 健康管理の徹底

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る